私の二人の息子はアメリカで生まれ、日本とアメリカの両方の国籍を持っているが将来はおそらく心はアメリカ人となっていくだろう。
先日5歳の長男が戦闘機の動画が見たいといい、第二次大戦の日本とアメリカの空中戦を再現したヒストリーチャンネルを見せたところ「僕は青い飛行機が好き」と言う。
「青い飛行機」とはアメリカ軍のF6F グラマン・ヘルキャットのことである。日本の零式艦上戦闘機、ゼロ戦のライバルである。そして、そのゼロ戦を指して「緑の飛行機は悪者」と言った。
アメリカが作成した番組だから余計にそう見えたのかもしれないが、長男は既に自分のことをアメリカ人だと思い始めているように感じた。最近は日本語も殆ど出なくなってしまった。こちらが日本語で話しかけても英語で応えるようになってきた。「僕はアメリカ人、パパとママは日本人」とまで言う。親としては複雑な思いだ。
もっともそれは自然なことでもある。アメリカの公立幼稚園に通っているので星条旗に向かって胸に手をあて「神のもとに一つとなった自由と正義の民として、アメリカ合衆国の国旗に忠誠を誓います」といった「忠誠の誓い(the Pledge of Allegiance)」を毎朝行っているのだ。さまざまな人種、宗教、価値観が異なる人々をひとつの国家とするには必要なことなのだろう。
しかし彼は日本人の子孫であり、それは一生変わらないのだ。彼が成長するに従い、自分の祖先について考えるようになるだろう。太平洋戦争の歴史をどのように理解するだろうか。彼に正しい知識として日本の近代史を教え、決して一方からではなく、さまざまな側面からそれらを見て考えることの出来る人間になってくれることを願っている。
正しい知識としての歴史は私が日本で繰り返し教わった自虐史ではない。どの国の歴史にも光と影があり、光の部分を強調し影の部分を隠そうする。日本に限っては逆である。影の部分のみを強調する。そして罪悪感のみを背負っている。私の子供達をそうさせてはならないと感じている。
これは私がアメリカに来て年月を経るに従って感じてきたことである。日本という国は日本人が思っているほど悪くはないのだ。日本人は自国のことを「小さな島国」というが、世界に与え続けている影響という意味では、日本はれっきとした大国なのだ。それは過去の日本人が積み上げてきた努力と実績による結果なのである。そのことを忘れてはならない。
私は右でも左でもない。真実を知りたいのだ。そして子供達にそれを伝えなければならない。